テニススクールで出会いって、本当にあるの?
30年教えてきたコーチが、正直に答えます
「半年通っているけど、誰とも話したことがないんです」
レッスンのあと、お茶を片付けながら、ある女性が言いました。
テニススクールで出会いを期待して通い始めた人から、ときどき聞く言葉です。
本当のところ、テニススクールで出会いはあるのか。何百回も聞かれてきた質問に、コーチとしてふつうの言葉で答えます。

結論から言います。あります。でも、なかなか難しい。これが、テニスを教えて30年、いろいろなスクールを内側から見てきたあつしコーチの本音です。
「出会いがある」と書いてある記事もたくさんあるし、「全然ない」と書いてある記事もある。どちらも本当です。スクールという場所が、たまたま出会いが生まれにくく作られているから。
このページでは、なぜ難しいのか、それでも出会えた人は何が違ったのか、もしスクールを選ぶならどこを見ればいいのか——一通りお話しします。
「ある、でも難しい」が、本当のところ
ある調査では、「スクールで出会いがあった」と答えた人が約8割いました。「あ、なんだ、けっこうあるじゃん」と思いますよね。
でも、その先を読むと、「交際まで進んだ」のは9%くらい。10人にひとり以下です。
つまり、「いいなと思う人を見つけることはできる」「でも、そこから先に進むのは難しい」というのが、スクールの実態です。なぜそうなるのか——4つ、お話しします。
なぜ、スクールでは恋愛が始まりにくいのか

① 同じクラスの、同じ人としか会わない
スクールは、レベルと曜日と時間で、クラスが固定されます。「水曜の19時、中級」「土曜の朝、初中級」のように。
毎週、ほぼ同じ顔ぶれ。これは、一見いいことに見えます。でも逆に言うと、そのクラスに気になる人がいなかったら、半年ずっと出会いがゼロ。クラスを変えるのも気軽じゃないし、レベルで決まっているので自由には移れません。
② レッスン中は、コーチを見る時間
テニススクールの1時間半は、コーチが球を出して、生徒が順番に打ちます。視線は、ほとんどボールとコーチに向かう。生徒どうしで話す時間は、ボール拾いの30秒×数回くらいしかありません。
これが、テニス婚活サークルとの大きな違いです。サークルではダブルスを組んで、相手と2時間ずっと同じ側に立つ。コーチを見るのではなく、お互いを見る時間が、最初から組み込まれている。
③ みんな、目的がバラバラ
スクールに通う理由は、ひとそれぞれ。上達したい・健康のため・運動不足解消・子どもの送迎ついで。出会いを求めて来ている人は、実はとても少ない。
声をかけて、相手が「あ、出会い目的の人だ」と感じたら、距離を置かれます。それが他の生徒さんやコーチに伝わると、スクールでの居心地が一気に悪くなる。これが、スクールで出会いを求める人が動きにくい、いちばんの理由です。
④ コーチが、間を空けるように動いている
まっとうなスクールほど、コーチは生徒どうしの個人的なやりとりを、わざと作らないように動いています。連絡先交換を勧めない。ペアを意図的に組ませない。
正直に書くと、私自身も30年やってきて、そういう場面に何度も出会いました。レッスン中に、ある女性が同じクラスの男性の連絡先を聞きたそうにしている。私はもちろん気づいているけど、「次のレッスン、頑張りましょうね」と声をかけて、自然にその場をやり過ごす。冷たいわけではなく、スクールの中で個人的な関係を発展させようとすると、たいてい、もう一方の生徒さんが辛くなるからです。
恋愛関係になって続けば良いけれど、なれずに残った場合、片方は「気まずいクラス」を抱えたまま通うことになる。コーチはそれを20回、30回と見てきています。だから、間を空ける。
これは、出会い目的の人には冷たく感じるかもしれません。でも、テニス上達が目的の人にとっては、安心して通える環境です。スクールは、出会いを生まないように設計されている——これがコーチ側の本音です。
スクールのレッスンって、こんな感じです

ちょっと、土曜の朝のスクールを想像してみてください。コートに着くと、コーチが「今日もお願いします」。生徒たちが軽くお辞儀して、ストレッチが始まります。
そこから1時間半、流れはだいたいこうです。
ボール出し練習:1列に並んで、順番に打つ
コーチが球出しをして、生徒が1列に並んで順番に打ちます。フォアハンド10本、バックハンド10本、ボレー10本。打ち終わったら後ろに回って交代。隣の人に話しかける隙は、ほぼありません。みんな、自分のフォームのことで頭がいっぱいです。
ボール拾い:30秒の「貴重な時間」
1メニュー終わるたびに、生徒みんなでボールを拾います。30秒くらいの作業。「あっ、すみません」「これ、そっちのカゴに入れますね」みたいな、ごく短いやりとり。ここが、実は生徒どうしで話す、ほぼ唯一の時間です。
ダブルス形式:会話より「お願いします!」
最後の30分は、ダブルス形式の練習があるスクールも多いです。ペアはコーチがランダムに決める。ただし、ゲームに集中している分、会話よりは「お願いします!」「次いきます!」のような短いやりとりが中心になります。
終了:「お疲れさまでした」で、解散
1時間半が終わると、コーチが「お疲れさまでした」。生徒たちが軽くお辞儀をして、急いで着替えて帰っていく。次のクラスがすぐ始まることが多いので、コートに残って話す時間はありません。ロッカーで着替えて、それぞれの予定に戻っていく——それが、ふつうのスクールの終わり方です。
これが、典型的なスクールの1時間半。「上達」には申し分のない設計です。コーチがしっかり全員を見て、フォームを直して、レベルを上げてくれる。でも、ここから恋愛が生まれるのは——構造的に、とても難しいことが、見ていただけるかと思います。
それでも、出会えた人たちは何が違ったのか

難しい中でも、私が30年見てきて「ここから始まった」というケースは、3つに集まります。
① イベントから、関係が始まった
スクールが主催するクリスマス会・夏合宿・スクール内の試合。レッスン中は話せなくても、こういうイベントの場では別。私が見てきた成婚カップルの大半は、ここを起点に距離が縮まっていました。
逆に言えば、こういうイベントがないスクールでは、ほぼ何も始まりません。スクール選びで、いちばん見るべき場所です。
② クラスが上がったら、急に世界が広がった
同じクラスに2年いて出会いゼロだった人が、上のクラスに上がった途端、新しい人と接点ができて、半年後に交際——というケースをよく見ました。
ただし、これはテニスそのものを楽しんでいる人にしか起きません。出会い目的だけで通うと、上達がついてこない。「上達したら、出会いもついてきた」という順番です。
③ コーチと、生徒
正直に書きます。スクール内で生まれるカップルでいちばん多いのは、コーチと生徒です。別のテニス系メディアの調査でも、繰り返しそう書かれています。
理由は単純で、コーチは全部のクラスを横断して見ているから。接点の数が、生徒よりずっと多い。ただ、ここには大事な前提があります——多くのテニススクールでは、コーチと生徒の交際は規程として禁じられています。それを承知のうえで関係が始まる場合、ルール違反のリスクを両方が背負うことになります。
ここで、コーチ側の本音もお話ししておきます。私自身、若い頃にスクールで生徒さんから好意を寄せていただいたことが、何度かありました。でも、そのたびに「お受けできません」と、お断りしてきました。
理由は、自分の中ではっきりしていました。生徒との関係が個人的なものになると、コーチとしての仕事が確実にうまくいかなくなる。他の生徒さんが「えこひいきだ」と感じる瞬間が必ず生まれる。クラスの空気がおかしくなる。それを30年で何度も見てきたから、自分は線を引いてきました。
結果として、私が結婚したのは、テニスとはぜんぜん関係のない場所でした。体を壊して入院した時に、病室で看護をしてくださっていた看護師さんです。「あの時、生徒さんとのご縁をお断りしていなかったら、こうはなっていなかったかもしれませんね」と、いまでも妻と笑い話にしています。(この話は コーチが看護師だった奥さんと結婚した話 に詳しく書きました)
30年スクールで教えてきて、コーチと生徒の関係を期待してスクールに通うのは、構造的にもリスクの面でも、現実的じゃないと思います。これは、コーチ側の責任の話でもあります。
「教え子から30組成婚」の場所と、何が違ったか

私自身は、教え子同士から30組以上の結婚を見届けてきました。でもそれは、スクールではなく「サークル」でした。スクールとサークル、似ているようで、ぜんぜん違う場です。
| テニススクール | 婚活テニスサークル | |
|---|---|---|
| 来る理由 | 上達/健康/ストレス解消 | 出会い+テニス(最初からそう) |
| みんなの目的 | バラバラ | 全員、出会いを求めている |
| 話す時間 | ボール拾いの30秒 | 2時間まるごと |
| コーチの役割 | 個人的な関係を作らない | 関係が育つように動く |
| 1年で出会う人数 | 同じクラスの10〜15人 | 累計50〜100人 |
テニス婚活サークルって何?という方は、テニス婚活って、実際どうなの? から読んでみてください。
「スクールで出会えますか、と聞かれたら、『無理じゃないけど、遠回りです』とお答えします。まっとうなスクールほど、出会いが生まれない場として作られているんです」— あつしコーチ
30年の中で、こんな方もいました
もうひとり、印象に残っている方の話を。Tさん(当時39歳・男性)は、土曜の朝のクラスに3年通っていた方でした。同じクラスに、ずっと気になる女性がいたそうです。
何度かレッスンが始まる前のコートで顔を合わせると、「こんにちは」「ラケット、変えたんですか?」みたいな短いやりとりをしたり、休憩中のボール拾いで「今日は調子いいですね」くらいの会話はあった。でも、レッスンの場を超えて連絡を取る勇気が出ないまま、ある日その女性がスクールを辞めていきました。
「コートの外で話せる時間が、せめて1回でもあれば、たぶん声をかけられたんですけどね」と、Tさんはあとから振り返っていました。
3年通って、距離は1ミリも縮まらないまま、相手はいなくなった——スクールという場では、これがふつうに起きます。Tさんはその後、当時私がコーチをしていたサークルに参加してくれるようになり、「ここは、コートの外でも自然に話せる時間がある。こっちのほうが、自分には合っていた」と話していました。
それでもスクールを選ぶなら、ここを見てください
テニス上達がメインで、「出会いがあれば嬉しい」くらいのテンションでスクールを選ぶなら、次のことをチェックしてください。
- シーズンイベントを定期的にやっているか(夏合宿・クリスマス会・スクール内の試合・忘年会)
- 20〜40代の生徒が中心か(年齢層が偏っていないか)
- クラスの昇格チャンスが年に複数回あるか(接点が広がる機会)
- 振替制度があるか(他のクラスの人と会える)
- 団体戦やチーム戦の練習があるか(生徒どうしで動く時間が生まれる)
とくに最初の「シーズンイベント」が、いちばん見るべき項目です。レッスン中は話せない、終わったら解散——その壁を越えるのは、合宿や試合などの特別なイベントが、ほぼ唯一の機会です。それを開催しない方針のスクールでは、上達はできても、人と知り合う場はまず生まれません。
これが揃っているスクールなら、自然な接点が生まれやすい。逆に「ただレッスンだけ」のスクールは、上達はするけど、出会いは期待しないほうがいいです。
スクールについて、よく聞かれる心配ごと
スクール選びで迷っている方からよくいただく3つの質問に、答えておきます。
月にいくらかかる?
月8,000〜15,000円が相場です。プラスして、夏合宿などのイベントに参加する場合は別途5,000〜20,000円。1年通うと、12〜18万円くらい。「出会いがあった」が8割でも、交際まで進む確率は9%——この数字とコストを並べると、ちょっと割高に感じるかもしれません。
何ヶ月通えば、何か見えてきますか?
正直に言って、「半年は何も起きない」ことが多いです。同じクラスの人の名前を覚えるのに、平均3ヶ月。そこから先、イベントやクラス昇格があれば動きが出る。「2ヶ月通って出会いがない」と判断するのは早いです。逆に、半年〜1年経って何も動きがなければ、構造的に難しい場所だと判断していいと思います。
気になる人ができたら、どう動けばいい?
これ、いちばん難しい質問です。レッスン中は話せない、ロッカーで急に声をかけるのは唐突、終わってから引き止めるとコーチや他の生徒にも伝わる——どこにも自然な接点がないのがスクールです。
本記事を監修している R(恋愛コーチング講師)から、3つの動き方を聞きました。「待つ・聞く・上達する」——順番にお話しします。
① 待つ:イベントを起点にする
短期的にいちばん現実的なのは、スクールが主催するイベント(合宿・大会・忘年会)を待って、そこで話しかけること。それを待たずに動こうとすると、たいていうまくいきません。「3ヶ月後の合宿で、自然に話せたらラッキー」くらいの長期戦覚悟で、です。
② 聞く:軽くテニス情報のやりとりから始める
すぐにできる動き方として、テニス情報を軽く聞いてみる、というやり方があります。
「平日にできるサークル、ご存じないですか?」「普段はどこで打たれているんですか?」「テニスができる場所を探していて、どこかいいところありますか?」——こういう、テニスの情報交換から始まる短い問いです。
これがうまくいくと、相手が通っているサークルや、自分が主宰しているサークルがあれば、「うち、平日にやってますよ」「よかったら、今度顔出します?」と紹介してくれることがあります。そこから、スクール外で会う関係が、自然に始まる。
これは、R 自身の実体験です。「恋愛目的の声かけ」に見えないので、相手も警戒しません。本当にテニスがしたい人として受け取ってくれて、情報をくれた人とは、それから自然と話が続くようになります。
③ 上達する:テニス自体を本気でやる
さらに長期的に効くのは、テニス自体を本気で上達することです。
レベルが上がってくると、自然と「次の大会、ダブルス組みませんか?」「外のサークルにも顔を出してるんですけど、よかったら一緒にどうですか?」と、テニスを理由に誘える場面が生まれます。R自身も現役で大会に出ていた頃、男女問わずこの誘い方をして、人との接点を広げていたそうです。
これも、「恋愛目的の声かけ」ではなく「テニスをするための声かけ」。唐突にならないし、相手も身構えずに受けられる。スクール内で動こうとして詰まる人と、自然に関係が広がっていく人の差は、結局ここにあります。
3つに共通するのは、「テニスを楽しんでいる自分でいるうちに、人との接点が自然と広がっていく」こと。スクールで「気になる人」と動く、いちばん健全な道です。
「もっと近道はないですか」と聞かれたら
もし、出会いの優先度が高いなら、スクールではなく次のどれかを考えてみてください。
- テニス婚活サークル(月1〜2回/関係をゆっくり育てられる)
- テニス婚活パーティー(1日完結/その日のうちにペアを決めるタイプ)
- マッチングアプリの「テニス好き」絞り込み(数は多いが質はバラバラ)
サークルの選び方は、テニスサークルで出会いを求める人へ に詳しく。婚活全体を見比べたい方は 東京の婚活5つの選択肢を徹底比較 をどうぞ。
最後に、いつも生徒さんに言うこと
30年スクールで教えてきて、「出会いたいんですけど」と相談された時、私はいつも同じことを答えてきました。
「出会いを目的にスクールに来ると、テニスも出会いも、両方うまくいかなくなります。テニスを楽しんでいる自分でいてください。その姿に惹かれる人が、たまに現れる。そういう順番のほうが、結果的にうまくいくんです」— あつしコーチ
これは、恋愛全般にも当てはまる話だと思っています。テクニックで関係を作ろうとする人は、関係そのものが続かない。詳しくは ラリーが続く人と切れる人。「テクニック」では作れないもの をどうぞ。
30年の中で、こんな方がいました
以前、私の生徒だったYさん(当時34歳・女性)は、出会い目的でスクールに2年通って、結局1度も食事に行けず、疲れて辞めました。その後、当時私がコーチをしていたサークルに来てくれて、「スクールと違って、コート脇で自然に話せる時間がある。気がついたら、いろんな人の人柄が分かるようになっていた」と笑っていました。1年半後、同じサークルの方と結婚されました。
東京・品川で、月1テニス。
1回目は半額で試せます
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テニスを教えて30年。教え子から30組以上が結婚していくのを、コートの脇で見届けてきました。Love All Tennis のコラムは、その現場の言葉で書いています。