テニス婚活って、実際どうなの?
ちょうどいい距離で、その人の本当が見える場所
「もう、アプリは疲れた」
以前、私のところに相談に来た40歳の女性が、最初に言った一言です。
3年で100人と会った。いい人もいたはず。でも、いつも同じ感じで終わる。プロフィールを読む、会話する、判定する。そのループに、本人がうんざりしていました。

「次は、テニスでもやってみようかなって」
テニス婚活、と検索する人の多くは、こういう人たちです。アプリで疲れた人。パーティーで疲れた人。「結婚しなきゃ」より、「もう少しまっとうに、人と会える場所がほしいな」と思っている人。
30年テニスを教えてきました、あつしコーチです。教え子から30組以上が結婚していくのを、コートの脇で見てきました。その上で、テニス婚活って結局なんなのか、コーチの目線でひとつだけ答えるとしたら——こうなります。
「ちょうどいい距離で、その人の本当が見える場所」
このコラムでは、そのことを、できるだけまっすぐにお話しします。
アプリは遠すぎる、パーティーは近すぎる

婚活で疲れる、というとき、たぶんいちばんの原因は「距離が合わない」ことです。
マッチングアプリは、遠すぎる。画面の向こうに相手がいて、文字でやりとりする。会えるまでにメッセージを何往復もする。会っても、また判定の場が始まる。ずっと「相手の心を読む」緊張が続く。
婚活パーティーは、近すぎる。テーブルを挟んで向かい合って、目を合わせ続けないといけない。「2分後にローテーション」という時間制限がある。息が詰まる感じを、誰しも経験したことがあると思います。
相談所は、もう少し距離は近いけど、「お見合いの場」が固い。街コンは賑やかすぎる。どの場所も、自分のペースで呼吸ができない。
コートは、向かい合わない場所

テニスのコートの上は、ぜんぜん違います。
ラリーの距離は、ちょうどいい
ラリーをするとき、ふたりはコートの端と端に立ちます。近すぎず、遠すぎない。ボールが行き来するあいだ、自分は息ができる。相手を見ていなくていい。でも、確かに「一緒にいる」。
会話も、コートの上では不思議なほど続きます。「ナイスショット」「ごめん、いまの取れた」「次いきましょう」——言葉を絞り出さなくていい。プレーがあるから、自然に話題が生まれる。沈黙が気まずくない。
そして、ダブルスは「横並び」の心地よさ
ダブルスでペアを組むと、もっと自然です。同じ側に立つ。並んで、前を向く。「向かい合う」のではなく「同じほうを向く」。
これには、心理学的にも理由があります。本記事を監修している R(恋愛コーチング講師)が、現場でいつもお話ししてきたのが、「横並びの居心地の良さ」でした。
向かい合うと、目を見ないといけない気がする。でも見続けるのは気恥ずかしい。じゃあ目を伏せると、こんどは「悪いかな」と気を遣う。結局、ずっと緊張している。
バーのカウンターを思い浮かべてください。同じ方向を向いて、隣に座っている。顔を見たいときだけ、ちらっと横を向けばいい。それ以外の時間は、グラスや、目の前のボトルを見ていればいい。「見続けなくていい」のに「一緒にいる」。これが、人を楽にします。
公園のベンチも同じです。並んで座って、同じ方向を見て、空や、行き交う人を眺める。言葉を絞り出さなくていい。沈黙も気にならない。でも、相手の息遣いや雰囲気は、確かに伝わってくる。
もっと言うと、ジェットコースターも実はそうなんです。並んで、同じ方向を向いて、一緒に怖がる。一緒にドキドキする。そのドキドキを「相手のせい」と脳が誤って結びつけることがあって——心理学では「吊り橋効果」と呼ばれる現象です。親近感が一気に深まる仕組みになっている。
これら全部に共通するのは、「同じ方向を、一緒に見ている」こと。一緒に何かを経験する、シンクロするということ。これは、関係を深めるとても良い方法だとR は恋愛コーチングの場で繰り返し伝えてきました。
テニスのダブルスは、まさにこの「横並び」が、2時間続く構造になっています。バーのカウンターを2時間続ける感覚に近い。違うのは、コートのほうが体を動かしている分、緊張が早く解けることです。
しかも、テニスには「吊り橋効果」も組み込まれている
ここまで読んできて、もうひとつ気づかれた方もいるかもしれません。テニスには、横並びと吊り橋効果が、両方組み込まれているということに。
ラリー中は、心臓が動いています。ボールが来るたびに「打ち損なわないか」「次どう動こうか」と気を張る。試合形式になれば、緊張はもっと上がる。ダブルスで隣にいるパートナーと、そのドキドキを一緒に経験している——これ、心理学的にはジェットコースターとほぼ同じ条件です。
違うのは、長さです。ジェットコースターのドキドキは数十秒で終わる。テニスは2時間ずっと続く。横並びの居心地と、吊り橋効果の親近感が、ゆっくり積み重なっていく場所——それが、コートの上なんです。
30年見てきた中で、ペアを組んだ2人がそのまま続いていくケースが多かったのは、偶然ではなくて、コートそのものが「親近感が深まる仕組み」を持っているからだと、いまは思っています。
「コートの上の距離は、ふしぎとよくできています。会話するには遠すぎず、息をするには近すぎない。そしてダブルスは、横並び。横並びで、一緒にドキドキしている。30年そばで見てきて、これがいちばんの『出会いの距離』だなと感じます」— あつしコーチ
「目を合わせ続けなくていいのに、確実に一緒にいる」「同じ方向を、並んで見ている」——この間合いが、テニス婚活のいちばんの特徴です。
ちょうどいい距離だから、見えてくるものがある
そして、ここからが本当の話です。距離がちょうどいいと、お互いに緊張が解けてきます。そうすると、それまで隠していたものが、ふと出てくる。
たとえば、サーブを2回続けて外したとき。簡単なボールをミスしたとき。ペアのとりやすい場所に打てなかったとき。そういう「うまくいかなかった瞬間」に、その人の本当が出るんです。
- 舌打ちするのか、笑って「ごめん」と言うのか
- 「いまの取れなかった?」と相手を責めるのか、「ナイストライ」と先に言うのか
- 悔しさを引きずるのか、すぐ次に切り替えるのか
- 連続してミスしても、自分を許せるのか
これ、写真には絶対に写りません。プロフィール文では書けません。アプリのメッセージでは、絶対に出てこない。「動いている時のその人」でしか、見えないものです。
パーティーや街コンでも、ここまでは見えません。会話だけだと、人はうまく取り繕えます。でもテニスは、2時間ずっと動き続ける。取り繕い続けるのは、無理です。だから、本当が出る。
逆に、自分の本当も、相手から見られている
これは、出会いを求める側にも大事な話です。自分も、相手から「動いている時の自分」を見られている。プロフィールでも、第一印象でもなく、所作で見られる。
30年見てきて、続いていく2人には、共通点がありました。失敗を笑える人どうし。譲り合える人どうし。ペアのミスを責めない人どうし。テニスコートで自然と組めるペアが、結婚しても続いている2人と、ほぼ同じだったんです。
「コートで自然にラリーが続く2人は、結婚しても続いていく。これは私の勘ではなく、30年見てきた結論です」— あつしコーチ
「ラリーが続く人と切れる人」の話は、別記事に詳しく書きました。ラリーが続く人と切れる人。「テクニック」では作れないもの をどうぞ。
30年の中で、こんな方がいました
以前、コーチとして関わっていたサークルでのこと。Aさん(当時40歳・女性)は、マッチングアプリで3年、100人以上と会ってきた方でした。「いつも『判定する/される』の緊張で、もう何も感じなくなっていた」と話してくれました。
コートに来た最初の日、ダブルスでペアを組んだ男性が、Aさんがミスしたあと「ナイストライ!」と先に声をかけたそうです。それから2時間、ふたりで走り回って、何度もハイタッチして、ときどき同じタイミングで笑った。向かい合っての自己紹介では、何も思わなかった相手だったそうです。
終わったあと、Aさんが言いました。「コートで一緒にいた2時間で、アプリで5回会うより、その人のことが分かった気がします」
翌々年、おふたりは結婚されました。
コートでは、こんなことが起きています

ここまで「距離」「横並び」「吊り橋」と、ちょっと構造的な話をしてきました。じゃあ実際、コートに立つと何が起きているのか——よくある場面を、いくつか書いてみます。
集合の最初の10分は、たぶん全員が緊張している
コートに着いてすぐは、誰もが少し固いです。「ラケットの握り方、合ってるかな」「会話、どうしよう」と、頭の中はぐるぐる。
でも、ウォーミングアップでサーブを打ち始めると、急に空気が変わります。ボールがネットに引っかかる音。誰かの「あ〜」という笑い声。コーチの「次、いきます」の声。気がつくと、緊張が半分ほどけています。
ペアを組む瞬間に、横並びが始まる
くじ引きや進行に合わせて、ペアが決まります。「よろしくお願いします」と声をかけ合って、コートの片側に並んで立つ。この時点で、すでに「向かい合っていない」状態になっているんです。
パーティーや街コンの「向かい合って自己紹介」とは、ぜんぜん違う始まり方。先ほどお話しした「横並びの居心地」が、ここから2時間続きます。
ラリーが続いた、たった5往復で起きること
ボールが5往復続いたとき。とくに、相手がうまく返せなかったボールを、こちらが拾ってつないだとき。ふたりで「やった!」と顔を見合わせて、ハイタッチします。
「ふたりで一緒に、何かをした」——この小さな成功が、コートでは数えきれないほど起きます。会話で「共通点」を探さなくても、共通の経験が、勝手に積み上がっていく場所です。
失敗の瞬間に、誰かが「ナイストライ!」と言うと
誰かがサーブを2回続けて外す。簡単なボレーをネットにかける。ロブを打ち損なう。そういう瞬間に、誰かが「ナイストライ!」と先に声をかけると、コート全体の空気が変わります。
「ミスは責められない場所だ」と、全員が感じる。すると、みんながもっと挑戦するようになる。2時間でこれが何度も起きると、コートはとても優しい場所になります。
終わったあとの、不思議な「初対面じゃない感じ」
2時間が終わると、みんな少し疲れています。でも、いい疲れ。汗をかいて、何回も笑って、何回も悔しがった、そういう疲れ。
その状態で懇親会が始まると、不思議と「初対面とは思えない会話」が生まれます。「あのボール、よく拾いましたね」「私、最後のサーブ完全に外しちゃって」と、コートで起きたことを一緒に振り返れる。
共通の体験って、それだけで強い架け橋になります。アプリで5回会っても、街コンで2分話しても、ここまでの空気にはなかなかなりません。
30年の中で、もうひとり、こんな方がいました
もうひとつ、印象に残っている方の話を。Bさん(当時38歳・男性)は、婚活パーティーに何十回も通った経験のある方でした。「行くたびに、面接を受けに来た気分になっていた」と笑っていました。
その一方で、Bさんは趣味のテニスをずっと続けていて、当時私がコーチをしていたサークルにも長く顔を出してくれていました。同じサークルにいたある女性とは、半年以上、ただの「テニス仲間」。お互いのプライベートはほとんど知らないまま、毎月コートで顔を合わせて、ラリーをして、解散する関係でした。
ある日、たまたまペアを組んだ時のこと。その女性が大事な場面でミスして「ごめんね!」と謝った。Bさんは思わず「全然! いいよいいよ」と笑って返した——そのあとに、ふっと気づいたそうです。
「パーティーで何百人と会話したより、この人とコートで過ごした時間のほうが、ずっとこの人のことを知っているな」
1年後、おふたりは結婚されました。Bさんは今でも、こう冗談を言います。「結局、コートで一番たくさん会っていた人と、結婚したんですよ」
こういう場所が、向いている人

テニス婚活は、誰にでも合うわけではないです。次のような人には、向いています。
- アプリやパーティーで、もう疲れた人
- 「動いている時のほうが、自分らしい」と感じる人
- 1回で結論を出すより、何度か会って見たい人
- 会話だけの初対面が、ちょっと辛い人
- 体を動かすのが嫌いじゃない(運動神経は問いません)
逆に、その日のうちに「いい人かどうか」を決めたい人、年収・身長を最優先したい人には、遠回りな場所になります。それなら、相談所やパーティーのほうが効率的です。
コートに来る前に、よく聞かれる心配ごと
はじめての方からいただく質問で、とくに多い3つに、軽くお答えしておきます。
運動神経がゼロでも、本当に大丈夫?
大丈夫です。むしろラリーが続かないペアのほうが、よく笑っているのがコート上のあるあるです。これまで関わってきたテニス婚活の場でも、半数以上は初心者でした。「久しぶり」「学生のとき少しだけ」という方が中心です。うまい人ほど、コートで会話を作るのが下手だったりする——これは、30年見てきての本当のところです。
テニスウェアやラケットは、買わないとダメ?
動きやすい服に、スニーカーで十分です。ラケットは貸してもらえる場所が多いので、最初は手ぶらで来てから決めて大丈夫。続けるか分からない段階で、何万円も買う必要はありません。「続けたいな」と思った時に揃えればいい。それくらいの気軽さで来てください。
既婚者が混ざっていないか、心配です
これはサークル選びでいちばん大事なところです。運転免許証など公的書類で本人確認をしているか、独身誓約書をお願いしているか——遠慮なく聞いてください。あいまいな答えのところは、避けたほうがいいです。Love All Tennis でも、両方の確認をしていきます。
もっと、深く知りたい方へ
「テニス婚活」と一口に言っても、行く先によって雰囲気はだいぶ違います。サークル・スクール・パーティー・アプリ——それぞれの中身を知りたい方は、続けてどうぞ。
サークルを本気で選ぶなら
テニスサークルにも、運動メインのとこ・遊び中心のとこ・ちゃんと出会いを考えているとこ、と3種類あります。間違えると疲れます。運営側から見た見分け方を書きました。
テニスサークルで出会いを求める人へ — 選び方と気をつけたいサインスクールで出会えるか、気になる方へ
「スクールで出会える」と書かれた記事は多いですが、実際に交際まで進むのは10人にひとり以下。なぜ少ないのか、コーチの立場で正直に書きました。
テニススクールで出会いって、本当にあるの? — 30年教えてきたコーチが正直にテニス以外の婚活手段と並べて見たい方へ
テニス以外にも、婚活の選択肢はいろいろ。アプリ・パーティー・街コン・相談所・趣味サークルの5つを、それぞれの「言いたがらない弱点」も含めて並べました。
東京の婚活5つの選択肢を徹底比較 — それぞれが見せたがらない本当の人間性もし、品川で月1のコートに来てみたいなら
このコラムを書いているのは、Love All Tennis を運営するあつしコーチです。テニスを教えて30年、教え子から30組以上が結婚していくのを、コートの脇で見届けてきました。
Love All Tennis は、東京・品川で月に1回ひらいていく、新しい婚活テニスサークル。20代〜30代と、30代〜50代の、2部制で運営していく予定です。2026年8月22日(土)の第1期合同開催から、はじまります。
第1部(20代〜30代)を見る → / 第2部(30代〜50代)を見る →
運動神経の心配は、たぶんいりません。これまで私が関わってきたテニス婚活の場では、半数以上がまったくの初心者でした。「久しぶり」「学生のとき少しだけ」という方が中心。むしろ、ラリーが続かないペアのほうが、よく笑っているんです。
詳しくは 申込みページ をどうぞ。
東京・品川で、月1テニス。
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テニスを教えて30年。教え子から30組以上が結婚していくのを、コートの脇で見届けてきました。Love All Tennis のコラムは、その現場の言葉で書いています。