婚活の「第一印象」は、
当てにならないかもしれません

公開: 2026-08-30|文: R(恋愛コーチとして100名以上の支援実績/経営者)|恋愛コラム

「その中で、お互いにいいなって思ったんですか」

そう聞いたとき、返ってきたのはこれでした。

「思わないです」
「思いません」
「思ってません」

30年以上連れ添っているご夫婦の、即答です。

夕方のテニスコートで、ネット越しに離れて立つ二人の遠景

長く続いているご夫婦とカップル、8組に、出会いから今までの話を順番に聞かせてもらったことがあります。聞き手は私(R)でした。

聞く前に予想していたのは、「相手のここが良かった」という答えです。返ってきたのは、それとはずいぶん違うものでした。

この記事は、「第一印象が悪かった相手と結婚することなんてあるのか」と検索した方に向けて書いています。結論から言うと、あります。しかも、思っているより普通に。

世の中の調査は「第一印象は重要」と答えている

まず、一般的な数字を置いておきます。

結婚相談所オーネットが2024年9月に実施した調査(609名・男性299/女性310)では、配偶者への第一印象はこうなっています。

配偶者への第一印象割合
好感が持てる人32.2%
異性として魅力的な人23.6%
普通の人20.7%
一目ぼれ14.0%

そして「第一印象は重要である」と答えた人が 51.7%、「それほど重要でない」が31.5%。半数が「重要」と答えています。

婚活の記事を検索すると、この手の数字を根拠に「だから第一印象を磨きましょう」という話が並びます。清潔感、表情、話し方。どれも間違ってはいません。

ただ、この数字には読み方の落とし穴があります。「配偶者への第一印象が良かった」と答えられるのは、すでに結婚した後から振り返っている人です。うまくいった相手の第一印象は、記憶のほうが後から書き換わります。

それで、実際に長く続いている人たちに、順番に聞いてみることにしました。

長く続いている8組に、同じことを聞いてみた

お話を伺ったのは、結婚しているご夫婦5組と、交際が続いているカップル3組です。出会った場所も年代もばらばらで、いちばん長い組は30年以上一緒にいます。

聞いたのは「出会った日から今日まで、順番に」というだけです。第一印象について答えを誘導した質問はしていません。

それでも、8組のうち7組が、同じ形をしていました。

7組が「第一印象では決めていなかった」

「僕はですね、第一印象は一切ないです」

健さんとあやさんは、結婚して4年目です。出会いは大人の遊びの会でした。大きな球場を借りて野球をしたり、パーティーをしたり。出会いを目的にした場ではありません。

3〜40人の集まりの中で、二人は3〜4回、顔を合わせています。それでも——

「僕はですね、第一印象は一切ないです」

健さんの理由は明快でした。「3、40人いたのと、その時にずっと話してたのが別の人だったんで」。あやさんの側も、覚えていたのは彼のことではなく、彼の仕事の内容のほうでした。

お互いに、別の人を「いいな」と思っていた

冒頭の3連続の否定は、正夫さんと和子さんのものです。出会いは30年以上前、男女20人ずつくらいの交流会でした。

それどころか、二人はお互いに別の人を「いいな」と思っていたそうです。

二人が話すようになったのは2回目の集まりで、当時流行っていた室内スポーツの交流会でした。その最中に突然、会場の電気が消えた。そのとき、たまたま同じチームに二人がいた。それだけです。

この話には続きがあります。

「他にも組んだ人たちが、何組かやっぱり夫婦になった人がいて」

同じ場に集まり続けた集団から、複数の組が結婚している。ひとつの偶然の話ではなかった、ということです。

電話番号を聞いたのに、聞いたこと自体を忘れていた

森さんご夫妻の出会いは、友達の結婚式の二次会でした。面白いのは、二人ともその場に行くつもりがなかったことです。

ご主人の第一印象は、こうでした。

「印象っていう感じは、なくはないんですけど、特にそうだってのはないけど。でも、ちょっと話した時に、話は合ったなっていうか、悪くはないなっていう感覚があったんですよ」

「悪くはないな」。それが出発点でした。

しかもこの日の夜、ご主人は奥さんの電話番号を聞いています。ところが後日——聞いたこと自体を忘れていた。

奥さんの側も、彼に持った興味は恋愛のそれではありませんでした。「興味を持ったのは、仕事の面で」。サラリーマンが多い中で、彼が数少ない自営業だった。それが理由です。

例外の1組も、第一印象で決めたわけではなかった

8組すべてが同じだった、と書くと嘘になります。

拓さんとのぞみさんは、セミナーのチーム活動で出会っています。のぞみさんは、彼の見た目を好みだと感じていました。「細いスラッとしたタイプが好きだったので」。

ただ、話はそこで終わりません。その後の懇親会で、彼が名刺も持たず受け身でいるのを見て——

「おとなしいんだな、っていう」

一度、候補から落ちています。

評価が戻ったのはセミナーの3回目あたり。チームの活動で、彼が急に積極的にリーダーシップを発揮しているのを見たときでした。「結構、見る目はその辺で変わりました」。

つまりこの組も、第一印象で決めたわけではありません。第一印象で上げて、下げて、また上げている。

8組を並べて言えるのは、「第一印象が無かった」ではなく、「第一印象は当てにならなかった」のほうだと思います。

では、何が関係を動かしたのか

ここがこの取材でいちばん面白かったところです。7組すべてで、関係が動いた場面が同じ形をしていました。

テニスのあとにハイタッチを交わす二人の手元

健さんとあやさんの転機は、みんなで行った泊まりがけの旅行です。夜、参加者がひとりずつ寝ていく中で、最後まで残ったのが二人でした。朝方まで話しています。

「共通項が結構多くて」
「ああそうそう、ああそれ知ってる、みたいな」
「こんな人なんだ、みたいな。逆にそこで、すごい興味がある」

ここが引っかかりました。共通項は、最初からあったのです。二人とも本を読むのが好きで、セミナーに通うような人たちの集まりでした。それなのに、3〜4回会っても見えていなかった。

正夫さんと和子さんは、同じチームで一緒に動いたとき。森さんご夫妻は、電話で彼女の地元での出来事を長く聞いたときでした。運転中に動物と衝突した話や、雪にはまって一晩を車の中で明かした話。内容ではなく、話し方でした。

「淡々と話をして」

奥さんはそこで「なんなんだこの子は」と思ったそうです。

共通しているのは、「大人数の場で少し話す」ではなく「長い時間を一緒に過ごした」という点です。第一印象が当てにならないのは、当たり前かもしれません。第一印象を作る時間は、数分しかないのですから。

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何組かで効いたのは「書かれたもの」だった

これは予想していませんでした。何組かで、関係を決定的に動かしたのが「書かれたもの」でした。

まりさんは、彼のプロフィール文をある夜、改めて読みました。そこには子供の頃の失敗や、辛かったこと、お金で苦労した話が書いてありました。

「そこで、すごくもう、涙が出てくるくらい感動っていうか、心を打たれたんですよ」

それまで彼女にとって、彼は「交流会に来てくれたお客さんの一人」でした。

森さんご夫妻には1ヶ月半の破局期間があります。それを終わらせたのは、奥さんが一冊の本を送ったことでした。書店でたまたま見かけて読んだら、主人公が彼に似ていた。ただし決定的に違う点が一つあって、それは主人公にはパートナーがいないことだった、と。

「全部をね、知ってもらってる感じがしてね。言い方がなんか変なんだけど、安心したんですよ」

対面では見えなかったものが、書かれたものを読んだときに届いている。方向は違いますが、「一目では分からなかった」という点は同じでした。

この8組には偏りがあります

正直に書いておきます。

8組は全員、学びや成長のコミュニティに通っていた人たちでした。セミナーや交流会の文化圏です。ですから「趣味の場なら誰でも自然に出会える」という話ではありません。

言えるのは、この8組に限れば、第一印象も条件も決め手になっていなかった、ということだけです。統計として一般化できる数ではありません。

ただ、その偏りの正体を言い換えると、「共通の目的を持った人たちが、繰り返し顔を合わせる場にいた」ということでもあります。8組に起きたことは、そういう場では起きやすいのかもしれません。

それでも、8組のうち7組までが同じ形をしていたのは、偶然とは思えませんでした。

第一印象の代わりに、何を見ればいいのか

誤解のないように書いておくと、この記事は「第一印象を磨かなくていい」という話ではありません。清潔感のように、相手に不快感を与えない配慮は前提として必要です。

言いたいのは、判定する側に立ったときの精度が低いということです。

取材の最後に、それぞれへ「相手が見つけられない」という方へのメッセージをお願いしました。あやさんの答えが、この記事の答えでもあります。

「探してたりとかすると、なかなか見つからないと思うんですけど」
「自分と波長が合う人たちがたくさんいるところにいるっていうのは、結構、相手を見つけやすいんじゃないかなって思うんですよね」
その相手も、どんな風に集団の中で振る舞うのかが見えたりとか。それも結構、大事かなって思うので」

健さんはこう言いました。

「それまでは、僕は多分、駆け引きをしてたんですね」
「駆け引きしてるとダメなのかなって、今思います」
「飾らないで楽に生きてて、その楽な状態で一緒にいられる人っていうのが、ずっと一緒にいられる人じゃないかなと思います」

拓さんは「僕、それまでちょっと一時、恋愛にこう、頭で恋愛をしちゃってた時期があって。条件でやってたんですよね」と振り返りました。森さんご夫妻のご主人は、ひとことでした。

「取り繕っても、分かっちゃうわけじゃないですか」

8組の話をまとめると

・第一印象は数分でつくられるので、当てにならなくて当然だった
・関係が動いたのは全組で「長い時間を一緒に過ごした」場面だった
・一目で分からなかったものは、同じ場に何度か立つうちに見えてきた
・「探す」より「自分が楽でいられる場所にいる」ほうが早い、と全員が言った

よくある質問

第一印象が悪かった相手と結婚することはありますか?

あります。今回取材した8組のうち7組が「第一印象では決めていなかった」と答えました。30年以上連れ添っているご夫婦は「最初にお互いいいなと思いましたか」に「思わないです」「思いません」と即答し、当時はお互い別の人を「いいな」と思っていたそうです。

第一印象が当てにならないなら、何を見ればいいですか?

取材した8組で関係が動いたきっかけは、いずれも「長い時間を一緒に過ごしたこと」でした。朝方まで話した、同じチームで何かをした、電話で長く話した、といった場面です。判断を急がず、同じ相手と何度か時間を重ねられる場に身を置くほうが確実です。

一目惚れで結婚した人はいないのですか?

います。オーネットの調査(2024年9月・609名)では、配偶者への第一印象が「一目ぼれ」だった人は14.0%でした。今回の8組にも見た目に惹かれた組が1組ありましたが、その組もその後の振る舞いを見て一度候補から外し、また評価が戻っています。

出会いの場で第一印象を良くする努力は無意味ですか?

無意味ではありません。清潔感のように、相手に不快感を与えない配慮は前提として必要です。この記事が言っているのは「磨かなくていい」ではなく、「第一印象で相手を判定するのをやめたほうがいい」ということです。

まとめ

「第一印象が悪かった人と結婚するなんてあるのか」と検索してこの記事にたどり着いたのなら、答えは「珍しくありません」です。

むしろ、長く続いている人たちほど「最初は何も思わなかった」と言います。数分で分かることのほうが、少ないのだと思います。

だとすれば、必要なのは見る目を鍛えることではなく、同じ人と何度か時間を重ねられる場所に、身を置くことのほうかもしれません。


私たちがいま準備しているのは、テニスです。指導歴30年のコーチと一緒に、東京・品川で婚活のテニスサークルを始めます。

テニスにした理由は、あやさんの言葉とほぼ同じです。「その相手が、どんな風に集団の中で振る舞うのかが見える」。

2時間、本気で球を打つと、取り繕っていられなくなります。ミスしたときにどうするか。うまくいかない時間が続いたときにどうするか。人が困っているときに、動くのか動かないのか。自己紹介では出てこないものが、出てきます。

そしてもうひとつ、8組の話から動かせなかった条件があります。一度で終わらせないことです。彼らが相手を見つけたのは、初対面の数分ではなく、同じ場に何度か立ったあとでした。だから月に1〜2回、同じ顔ぶれで会える形にしています。1回で決めなくていい場所のほうが、たぶん理にかなっています。

もちろん、コートに来れば必ずうまくいくとは言えません。8組の話も、あくまで8組の話です。ただ、プロフィールを読んで判定する以外のやり方が、あってもいいと思っています。

東京・品川で、月1テニス。
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会場:東京・品川エリア(大井町駅から送迎あり)/男性 5,000円 → 2,500円/女性 3,000円 → 1,500円(懇親会費別)

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