「最初はモノマネから」テニス指導30年のコーチが断言する大人の初心者上達論
大人になってからテニスを始めて、本当に上達できるのか。30年で500人以上の大人初心者を見てきて、はっきり言えることがあります。上達するかどうかは、運動神経でも年齢でもない。最初の3ヶ月で「うまくできない自分」と折り合えるかどうかだけ。そして折り合うコツが、「最初はモノマネから入る」というシンプルな一言に集約されます。なぜモノマネが効くのか、なぜ多くの大人初心者が3ヶ月以内にやめてしまうのか、30年の現場から見えてきた構造を全部書きます。
「テニスを楽しいと思わせるのが、コーチの仕事です。上達させることじゃない。楽しければ、勝手に上達していくから」 — あつしコーチ
大人がテニスを始める時、最大の障害は「うまくできない自分」
30年テニスを教えていて、大人の初心者がやめていくタイミングは、ほぼ決まっています。始めて1ヶ月から3ヶ月の間です。
理由は、ほぼ一つに集約されます。「自分が思っていたよりも、できなかった」。
テレビで見るプロの試合、YouTubeで見る上級者のラリー、SNSで流れてくる軽やかなショット——大人がテニスを始める時、頭の中にあるイメージは、たいてい「完成形」です。ところが実際にコートに立つと、ラケットにボールが当たらない。当たっても狙ったところに飛ばない。空振りする。フェンスに突き刺さる。
頭で想像していた自分と、現実の自分の差。これが、大人初心者が最初に直面する最大の山です。
子どもなら気にしません。できないのが当たり前の世界にいるから。でも大人は、職場でも家庭でも「できる人」として認識されている状態がベースになっている。「できない自分」に耐えられる時間は、子どもの数分の一しかない。これが、大人初心者の上達を妨げる最大の構造です。
「最初はモノマネから」——30年で辿り着いたシンプルな入口
その壁を一番楽に越えさせる方法が、「最初はモノマネから入る」というやり方です。レッスンでフォームを言葉で説明するより、コーチの動きを録画したものを見て、家で鏡の前で真似してきてもらう。これだけで、上達曲線が劇的に変わります。
「『右手を引いて、左肩を入れて、腰を回して』——こういう説明、覚えられないでしょう。だから言わないんです。動画を見て、真似する。それで体は勝手に覚えます」 — あつしコーチ
1. 大人は「言葉で覚える」癖がついている
仕事や勉強で「理解する→実行する」の順番に慣れているから、テニスでも同じ順番でやろうとします。「フォアハンドは右手を引いて、左肩を入れて、腰を回して、ボールに当てて、フォロースルー」——順番に説明されると、大人の脳は理解はする。ただ、理解と運動は別の回路です。理解しても、ラケットには伝わらない。
モノマネだと、この回路を飛ばせます。動きを見て、真似する。理屈は後からついてくる。これが大人にとっての最短ルートです。
2. 家で5分のモノマネ × 月1のレッスン、が一番伸びる
30年見てきて、上達する人と上達しない人の差は、レッスンの時間ではありません。レッスンと次のレッスンの間に、何をしていたかです。
家で5分、鏡の前でフォアハンドの素振りをしてくる人。動画をスマホで撮って、コーチの動きと比べてくる人。これだけで、月1のレッスンでも半年でラリーが続くようになります。逆に、レッスンの時だけラケットを握る人は、1年経ってもラリーが3往復しない。道具を握っている時間より、頭の中で動きを反復している時間の方が、運動学習には効きます。
3. 「最初から上手くやろう」を捨てると、続く
モノマネには副次的な効果もあります。「自分のやり方」を一旦手放せること。
大人は「自分なりに考えてやる」ことに価値を置きがちです。仕事ならそれが正解ですが、テニスの最初の3ヶ月は逆。自分なりの工夫を入れず、ただコピーする。これができる人ほど早く上達するし、続きます。「真似してるだけだから、できなくても自分のせいじゃない」という気楽さも生まれます。
初心者がやめてしまう3つのワナ
30年で、本当はテニスを楽しめたはずなのに、3ヶ月以内にやめてしまった人を何百人と見てきました。やめる理由は本人の口からは「忙しくなって」「時間が合わなくて」と語られますが、本当の原因は別のところにあります。
ワナ①:自分より上手い人と比べてしまう
サークルでもスクールでも、初心者の周りには「ちょっと上手い人」が必ずいます。半年早く始めた人、社会人になってから10年続けている人、学生時代に少しだけ経験がある人。
初心者がコートに立つと、目に入るのは「自分よりはるかに上手い人」です。「あんなに打てない」「自分は向いてない」と落ち込む。やめる人の多くは、この比較で心が折れています。
30年見てきて言えるのは、3ヶ月後にラリーが続いている人と続いていない人の差は、コートの上の差ではなく「比べる相手の置き方」の差だということ。比べるべきは、横の上手い人ではない。1ヶ月前の自分です。
ワナ②:「上達した瞬間」を自分で気づけない
テニスの上達は、階段状ではなく曲線です。ある日突然「あ、今のラリー、3回続いた」「今のスマッシュ、入った」という瞬間が来る。ただ、この瞬間は本人より、周りが先に気づきます。
「最近、当たり方が変わったね」とコーチや仲間から言われた時、本人はまだ自覚していない。自覚していないから、自分の進歩を信じられず、やめてしまう。
これを防ぐには、誰かが「変わったよ」と声をかけてくれる環境にいることが大事です。一人で壁打ちしていても、この声はかかりません。
ワナ③:「目的」を上達に置いてしまう
大人がテニスを始める動機は、本当はバラバラです。運動不足、ストレス解消、新しい人に会いたい、健康診断で引っかかった、子どもがテニスを始めたから自分も——どれも立派な動機です。
ところが始めると、いつの間にか「上達すること」が目的にすり替わっている。上達しないとレッスンが楽しくない、上達しないと意味がない、と本人が思い込んでしまう。
30年見ていて、長く続く人ほど「上達しなくてもコートにいる時間が楽しい」状態を作っています。上達は、楽しんでいたら結果として後からついてくる。最初から追いかける対象ではありません。
30年の現場から——上達した人たちの3つの実話
匿名で、30年の指導歴の中から3つだけ紹介します。「大人初心者がどう変わるか」のリアルな例として。
CASE 1:Aさん(女性・35歳・始めた時はラケットも持っていなかった)
Aさんは婚活サークル経由でテニスを始めました。学生時代の運動は文化系、就職してからほぼ運動経験ゼロ。最初の3ヶ月はラケットにボールが当たるかどうか、というレベル。
変わったきっかけは、コーチが渡した30秒の動画。スマホで自分のフォームを撮影し、コーチの動画と並べて見るだけ。「あ、私、肘がこんな上がってたんだ」と気づいた瞬間から、修正が早くなった。
始めて9ヶ月目、ラリーが10往復続いた日のことを「人生で最も嬉しかったことの一つ」と話していました。今は中級クラスで、同じサークルの男性と結婚しています。
CASE 2:Bさん(男性・48歳・運動神経が悪いと自負していた)
Bさんは「学生時代から運動神経が悪い」と最初に自己申告してきた人。確かに最初の3ヶ月、空振りの連続でした。
面白かったのは、Bさんが空振りするたびに自分で大笑いしていたこと。「自分は下手だから、笑うしかない」と本人は言っていましたが、これが結果的に最強の戦略でした。失敗しても自分を責めない人は、絶対にやめない。
1年半続けて、今は土日に近所の公園でラケットを振っているそうです。「上達したかどうかは分からないけど、毎週テニスができる週末が楽しみ」と話していたのが印象的でした。
CASE 3:Cさん(女性・29歳・学生時代に少しだけ経験あり)
Cさんは中学のテニス部に半年だけ在籍したことがある人。本人は「初心者」と申告してきましたが、ラケットを握る時の構え方が、ゼロからの人とは違いました。
面白いのは、Cさんが最初に苦戦した理由。「中学の時にやっていたフォーム」が体に残っていて、それが今のテニスのフォームと違っていた。過去の経験がそのまま強みになるわけではない、ということです。
3ヶ月、過去のフォームを忘れて新しいフォームを真似することに専念したら、半年後には経験ゼロの人より早く上達しました。
大人初心者が「テニスを好きになる」3要素
30年見てきて、大人初心者がテニスを「好きになる」までに必要なものを、3つに整理しました。これが揃うと、本人の運動神経や年齢に関係なく続きます。
要素①:失敗しても責められない場
初心者にとって一番怖いのは、空振りやミスをした時の周りの反応です。プロ志向の強いスクールやサークルだと、初心者は委縮します。「下手で当然」と全員が思っている場に最初の3ヶ月いられるかどうかが、続くかどうかを決めます。
要素②:1ヶ月前の自分との比較を、誰かが言語化してくれる
本人は気づきにくい上達を、誰かが「変わったね」「先月よりラケットの位置が良くなったね」と言葉にしてくれる環境。これがあるだけで、続ける気持ちが立て直されます。Love All Tennis では、毎回コーチが各メンバーに「先月との違い」を1つは伝えるようにしています。
要素③:上達と関係ない「コートにいる時間そのものの楽しさ」
これが一番大事です。ラリーが続かなくても、空振りしても、コートに立って2時間身体を動かす時間そのものが楽しい——という状態を、最初に作れるかどうか。
Love All Tennis が「婚活テニスサークル」と銘打っているのは、この第3要素を意図的に強くするためでもあります。「上達したい」より「人と会いたい」「身体を動かしたい」が動機の人の方が、結果的にテニスも続くし上達もします。皮肉ですが、30年見てきての事実です。
Love All Tennis で実践しているモノマネ指導
Love All Tennis の月1回のレッスンでは、初心者の方には次のような流れで進めています。
- ラケットの貸出:初回はラケットなしで来てOK。シューズもスニーカーで構いません
- 30秒のフォーム動画を撮影:コーチが各メンバーの素振りを撮影し、本人のスマホに送ります
- コーチの動画と並べて見る宿題:家で動画を並べて、違いに気づいてもらう
- 翌月、同じフォームを撮り直し:1ヶ月でどう変わったか、本人と一緒に確認
- ラリーは焦らない:3ヶ月目までラリーが続かなくても普通。コーチや他のメンバーとの軽い打ち合いで「楽しい」を維持
「上達しなければレッスンを受ける意味がない」という考え方ではありません。続けていれば誰でも半年〜1年で楽しさが見えてくる。それを邪魔しない設計にしています。
あなたへ — 最初の一歩を踏み出す前に
もしあなたが今、テニスを始めようかどうか迷っているなら、伝えたいことが3つあります。
1つ目。運動神経の良し悪しは、3ヶ月後の楽しさにほぼ関係ありません。むしろ「自分は運動神経が悪い」と自負している人の方が、開き直って楽しめる傾向があります。
2つ目。最初の3ヶ月は、上達ではなく「コートにいる時間の楽しさ」を目的にしてください。上達は後からついてきます。
3つ目。一人で始めるより、月1で会う人がいる場で始める方が、続く確率が圧倒的に高いです。これは婚活云々ではなく、純粋に「続けるための環境設計」の話です。
Love All Tennis は、東京・品川エリアで月1回開催する婚活テニスサークルです。2026年8月22日(土)、第1期スタート。「テニスは初めて」「ラケットも持っていない」「運動神経に自信がない」——どの状態でも参加できる設計にしています。
東京・品川で、月1テニス。
初回は半額で試せます
LINEで友だち追加 → 自動で半額クーポンが届きます
LINEで友だち追加 →よくある質問
大人になってからテニスを始めても上達できますか?
ラケットも持っていない初心者ですが大丈夫ですか?
なぜ「モノマネ」から始めるといいのですか?
月1回のテニスでも上達しますか?
運動神経が悪くても続けられますか?
— あつしコーチ
テニス指導歴30年・独立プロコーチ。教え子から30組以上の成婚を見届けてきた現場の観察を基に、Love All Tennis のコラムを綴っています。