「結婚したい理由がわからない」まま、
婚活は動いていい
「最終的に、結婚に踏み切られた理由って、分かります?」
そう聞いたとき、少し間があって、返ってきたのはこれでした。
「なんだろうね」
結婚して34年になるご主人の、答えです。
長く続いているご夫婦とカップル、8組に、出会いから今までの話を順番に聞かせてもらったことがあります。聞き手は私(R)でした。
どの組にも、途中で必ず聞いたことがあります。「結婚を決めた理由は何でしたか」。その場ですらすら答えられた組は、ほとんどいませんでした。
この記事は、「結婚したい理由がわからない」と検索した方に向けて書いています。結婚したい気持ちはある。でも理由を聞かれると、言葉が出ない。だから動けずにいる。その状態のまま、動いていい。それがこの記事の結論です。
「なんで結婚したいの」と聞かれて、言葉が出なかった夜
友人との食事の帰り道や、付き合っている相手との何気ない会話の途中で、ふいにこう聞かれます。
「で、なんで結婚したいの?」
一瞬、頭が白くなる。「そりゃ、まあ」と言いかけて、続きが出てこない。子どもが欲しいから、一人が寂しいから、親を安心させたいから。どれも間違ってはいない気がするのに、口に出した途端、どれも自分の言葉に聞こえない。
その夜、布団の中で考えます。理由がちゃんと言えない自分は、本当は結婚したくないのかもしれない。だとしたら、婚活を続ける意味はあるのか。
私(R)は、恋愛コーチとして100名以上の方の相談に乗ってきました。相談の言葉で多かったのは「つらい」「不安」、そして「わからない」です。自分が何を望んでいるのか、なぜそれを望むのかが、わからない。「わからない」は、相談の入口でいちばん多い言葉のひとつでした。
そして、この「わからない」を抱えたまま、婚活の手を止めてしまう方が少なくありませんでした。理由が言えないなら、動く資格がない。そう自分で決めてしまうからです。
目標より先に、「理由」の欄が空いていると人は動かない
私が支援の場で最初に見る場所は、目標そのものより、その一つ手前にあります。
人が動けないとき、「何をしたいか」はたいてい決まっています。「結婚したい」「パートナーが欲しい」というところは、埋まっている。空いているのは、「なぜ、それが自分に要るのか」の欄のほうです。
私が使う問いは、3つだけ。
私(R)が最初に聞く3つのこと
①どうなりたいか。望む結果を、できるだけ具体的に
②なぜ、それが自分に要るのか。いちばん大きな理由をひとつ
③10分以内にできる、最初の一歩は何か
②が空欄のまま①だけを掲げると、人は不思議なくらい動きません。目標が立派であるほど、動けない自分を責める材料が増えていく。「結婚したい理由がわからなくて動けない」は、まさにこの形です。
②の欄が空いているのは、気持ちが嘘だからではなく、まだ言葉になっていないだけです。
8組の話を聞いて、そう言えるようになりました。長く続いている人たちの②は、驚くほど後から埋まっていたからです。
8組に「結婚を決めた理由」を聞いてみた

「一緒になろう」が、挨拶代わり
冒頭の「なんだろうね」は、正夫さんの言葉でした。和子さんと結婚して34年。出会いは30年以上前の交流会です。
プロポーズはどんな感じでしたか、と聞くと、返ってきたのはこれでした。
「そういうのないですよ。付き合い始めて少し経ってから、もうすぐ一緒になろう、一緒になろうっていつも言ってない?」
隣から「言ってた? 覚えてないなぁ」という声がして、続いた一言が「挨拶代わりだったのかもしれないね」。
続けて、結婚に踏み切った理由を聞きました。答えが「なんだろうね」です。和子さんの側から出てきたのは、理由というより当時の空気で、「あの頃は25くらい前に結婚するのが普通だったんですよ」。だから、その年までには、と続きます。
「結婚するか別れるか」
「次のところに踏み出すみたいな」
正夫さんの側は、もっと現実的です。
「自分の中で結婚してもいいなと思った時も、金がなかったんですよ」
「だから言い出せなかったですね、結婚しようなんてね」
34年続いているご夫婦の「結婚を決めた理由」は、片方が「なんだろうね」で、もう片方は、その年までに結婚するか別れるか、でした。「これが理由です」と言える一言は、二人の口から出てきませんでした。
「別にね、全然決めずに」
森さんご夫妻は、1年半の同棲を経て結婚しています。結婚を意識した時期を聞くと、奥さんの答えはこうです。
「もう年齢も年齢だから結婚するんだろうなぁって私は思ってたんですけど」
「別にね、全然決めずに」
決め手を聞いても、出てきたのは理由というより、日々の感触でした。
「でもまあこの人と結婚するんだろうな」
「深く考えずに」
「一緒にいて楽しい」
「安心するし」
結婚の話は、どちらから言い出したかも覚えていないそうです。「どっちから結婚の話をしたか忘れたけど」と言い、一緒に住んでいる時点で「家族みたいな感じだったので」と続けました。
「この人だって、閃いたんです」
理由が先にあったように見える組もあります。健さんとあやさんは結婚4年目。あやさんは、付き合い始める前から「この人と結婚する」と思っていました。
「その時にこの人と結婚するんだって私が勝手に思って」
中身を聞くと、出てきたのは理由というより、直感でした。
「私がこの人だって」
「閃いたんです」
そして、実際に結婚する時期を決めたのは、気持ちではなく、彼の転勤です。「結婚はそんなに早くする予定じゃなかったんですけど」「じゃあ結婚しようって言って結婚した感じで」。
先に「理由」があった組も、答えていたのは「この人と一緒にいていいか」だった
8組の中には、結婚の前に、自分へ問いを立てた人もいます。
敦さんは、志保さんと付き合い始めて1年経たないうちに結婚を決めています。志保さんからは「結婚に結びつかない付き合いだったら」「あんまり続けたくないっていうようなのも同時に感じたんで」、自分に問いかけたそうです。
「この人とね」
「一緒にいてもいいと思うかということ」
「ずっと結婚して人生を共にしていることは良いかって自分に問いかけて、自分がその中でスッキリしたイエスっていう感覚があったので」
ここで問われているのは、「なぜ結婚したいか」より一つ手前の、「この人と、ずっと一緒にいていいか」でした。答えは理由ではなく、「スッキリしたイエス」という感覚のほうです。二人は結婚して11年になります。
拓さんとのぞみさんは、結婚の前に一緒に暮らし始めています。なぜ先に同棲を、と聞くと、返ってきたのはこれでした。
「一緒に暮らしたかったっていうのがありましたね」
「結婚をどうせするって決めてるから」
「一緒に暮らしてよかったらというより、先に暮らしちゃおうみたいな」。結婚は「なんとなく決めちゃってはいた」。決まっていたのは結婚で、埋まっていたのは「一緒に暮らしたい」のほうでした。
圭さんとゆかりさんは、付き合って3〜4ヶ月で一緒に住む話を始め、7ヶ月で同棲しています。理由は一言でした。
「やっぱり一緒にいる時間を長くしたいなっていう感じです」
「一緒に住んだら、一緒にいる時間が当たり前ですけど長くなるね」。それだけです。圭さんはご両親に、「ただ恋愛のための恋愛っていうんじゃなくて、やっぱりパートナーとして」付き合っている、と伝えていました。
先に埋まっていたのは、「どんな毎日を一緒に送りたいか」の欄だった
8組の話を並べて、気づいたことがあります。
「なぜ結婚したいか」の欄は、ほとんどの組で空いていました。「なんだろうね」「全然決めずに」「なんとなく決めちゃってはいた」。結婚して34年の組も、11年の組も、4年目の組もです。
代わりに埋まっていたのは、別の欄でした。
8組の口から出てきた「毎日」の言葉
「一緒にいて楽しい」「安心するし」(森さんご夫妻)
「家族みたいな感じだったので」(同)
「一緒に暮らしたかった」(拓さん)
「一緒にいる時間を長くしたい」(圭さん)
「この人と、ずっと一緒にいていいか」(敦さん)
どれも「結婚したい理由」の形をしていません。「この人と、どんな毎日を送りたいか」の答えです。理由は、この欄が埋まったあとに、後から言葉になっていました。
「結婚したい理由」を、いったん消したところから始まった組もあります。まりさんは、浩さんと出会う少し前まで「彼氏とかいないと幸せなれないっていう価値観」だったそうです。それが、仲間ができて「一人でも私は幸せっていう状態」に変わった。理由の欄を、自分で空にした状態です。
そこから気持ちが動いたのは、あるセミナーが終わる10分ほど前。浩さんが隣の席の女性と楽しそうに話しているのを見た瞬間でした。
「私が気持ち開いてるんだね」
「ひょっとしたら好きなのかもしれない」
理由は、あとから追いかけてきました。
逆に、理由と計画が先に埋まっていた側が、一度止まった組もあります。悠さんとりなさんは交際5年目。悠さんは結婚に向けた準備を、「結婚の仕事とかの一つだって私の捉えてるところがあるんですよ」と話しました。「将来設計なんかもすごい仕事の組み立て方の」やり方と同じだ、と。①も②も、きちんと書けていた人です。
それでも一度、りなさんから「距離を置きたい」と言われています。1週間連絡を絶ったあと、りなさんが本当に伝えたかったことは、準備とは別のところにありました。
「私が私のことをちゃんと分かってくれてない」
悠さんの側も、その1週間で気づいています。「やっぱり何か、その準備がなんとか、生活がなんとかってそういうところじゃないことに気づいたんですね」。計画の欄が埋まっていても、「二人でどんな毎日を送るか」が二人の間で共有されていないと止まる。私には、そう見えました。
理由の欄が空いたまま、それでも一歩を踏み出す人がしていること
では、いま理由が言えないあなたは、何から始めればいいのか。さっきの3つの欄を、順番を変えて埋めます。私が支援の場で実際にお願いしていることです。
まず、②「結婚したい理由」の欄は、空けたままにしておく。代わりに、①の書き方を変えます。「結婚したい」ではなく、「この人と、あるいは誰かと、どんな毎日を送りたいか」を10分だけ書く。朝起きたとき隣に誰がいるか、休みの日に何をしているか、疲れて帰ってきた夜に家の中がどんな空気か。8組の口から出てきたのは、ほとんどがこの欄の言葉でした。
次に、③だけを決める。理由は後から言葉になるので、いま決めるのは「10分でできる最初の一歩」だけです。友人に「そろそろ動こうと思っている」と一言送る。気になっていた場所があるなら、次の日程を確かめてみるだけでもいい。それで十分です。
そして、人のいる場所に身を置く。8組の②が埋まったのは、机の上ではなく、誰かと長い時間を過ごしたあとでした。「一緒にいて楽しい」「安心する」という言葉は、相手がいて初めて出てきます。一人で考えても、その欄は埋まりません。
指導歴30年、教え子30組以上が結婚していったコーチが、大人になってからテニスを始める人に言っていることがあります。
「動機は何でもいい。健康のため、運動不足、新しい出会い、ただ何となく——どれも立派な理由です。続けていれば、全部の効果が後から来ます」— コーチ
テニスの話ですが、私には8組の話と同じに聞こえました。そしてもうひとつ、コーチの言葉があります。
「動けない自分を、責めないでください。動けない理由が、ちゃんとあります。30年見てきて、それははっきり言えます」— コーチ
この8組には偏りがあります
正直に書いておきます。8組は全員、学びや成長のコミュニティに通っていた人たちです。統計として扱える数には足りませんし、理由が空欄でも全員がうまくいく、とまでは言えません。
言えるのは、この8組に限れば、「結婚したい理由」を理由の形で先に持っていた組は、私が聞いた限りひとつもなかった、ということだけです。
それでも、34年、11年、4年と長さの違う組が同じ形をしていたのは、偶然とは思えませんでした。
よくある質問
結婚したい理由が思いつかないのは、本当は結婚したくないということですか?
そうとは限りません。長く続いているご夫婦・カップル8組に「結婚を決めた理由」を聞いたところ、返ってきたのは「なんだろうね」「全然決めずに」「なんとなく決めちゃってはいた」でした。理由は、相手と過ごす毎日の中で後から言葉になっていました。気持ちがあって理由が空欄、という状態は珍しくありません。
「なぜ結婚したいの」と相手に聞かれたら、どう答えればいいですか?
理由の形で答えようとせず、「この人と、どんな毎日を送りたいか」で答えるほうが、本音に近い言葉が出やすいです。8組の口から出てきたのも「一緒にいて楽しい」「安心する」「一緒にいる時間を長くしたい」という、毎日の言葉でした。
理由がわからないまま婚活を始めても大丈夫ですか?
大丈夫です。8組の「理由」が埋まったのは、机の上ではなく、誰かと長い時間を過ごしたあとでした。相手がいて初めて出てくる言葉があります。まずは10分でできる最初の一歩だけを決めて、人のいる場所に身を置くことをすすめています。
結婚したい理由を先に決めてから動いたほうが、遠回りにならないのでは?
理由が先に言葉になる人もいます。ただ今回の8組では、「結婚したい理由」を理由の形で先に持っていた組は、私が聞いた限りありませんでした。先に埋まっていたのは「どんな毎日を一緒に送りたいか」です。そちらを先に書くほうが、動きやすいと考えています。
まとめ
「結婚したい理由がわからない」と検索してここに来たのなら、答えを一つだけ書いておきます。理由が空欄のまま動けないのは、自然なことです。
長く続いている8組も、理由は後から言葉になっていました。先に埋まっていたのは結婚の理由ではなく、「どんな毎日を一緒に送りたいか」の欄でした。
だとすれば、いまのあなたに要るのは、理由を探すことより、その欄を埋められる相手と、時間を過ごすことのほうかもしれません。
私たちがいま始めているのは、テニスです。指導歴30年のコーチと一緒に、東京・品川で婚活のテニスサークルを、月1〜2回、同じ顔ぶれで会える形にしています。
理由の欄が空いたままでも来られる場所にしたかった、というのがひとつ。申込みに要るのは、お名前と連絡先だけです。動機は「なんとなく」で十分です。
もうひとつの理由は、8組の言葉にあります。「一緒にいて楽しい」「安心する」は、自己紹介の中からは出てきません。コートで2時間、その人の素が見える。ミスしたときにどうするか、ペアが困っているときに動くのか動かないのか。8組が後から言葉にした「毎日」は、そういう時間の中で見えてくるものと同じだと思っています。
もちろん、コートに来れば必ず理由が見つかる、とは言えません。8組の話も、あくまで8組の話です。ただ、理由を先に書かせない場所が、ひとつくらいあってもいいと思っています。
東京・品川で、月1テニス。
1回目は半額で試せます
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